概要
行政書士の資格は国家資格であり行政書士法にその根拠を持つ。監督官庁は総務省(旧自治省)である。マンガ『カバチタレ!』(原作・田島隆/作画・東風孝広)が週刊モーニングで連載されたことや、同作品が連続ドラマ化されたことによる爆発的人気を背景に、受験生が増加した。なお、2006年秋の試験より試験内容が大幅に変更された。
法定の除外事由がないのに、行政書士でない者が官公署に提出したり、権利義務に関する法律書類を作成することや、行政書士と類似の名称を使用することは、以下のとおり行政書士法により原則として禁じられている(非行政書士行為)。
・行政書士登録を行っていないものが、法定の除外事由なく行政書士の独占業務(第1条の2)を行うこと(第19条)
→違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(第21条)
・行政書士登録を行っていないものが行政書士と称すること(第19条の2)
→違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる(第22条の4)
業務の制限
「官公署」や「権利義務関係文書」は抽象的な概念であることから、官公署提出書類及び権利義務関係文書は形式的には広範なものになる。しかし行政書士法第1条の2第2項の行政書士業務制限規定があることから、他の法律(弁護士法、司法書士法等)においてその業務を行うことが制限されている事項については業務を行うことができない。結果として、行政書士が業として作成できる官公署提出書類及び権利義務関係文書の範囲は一定範囲に限定される。債務整理・交通事故・離婚等の法律事件や、会社設立や不動産についての相続等の登記関連業務、派遣労働者の許認可申請、ほぼ全ての税務申告等を行うことは法律違反となる。にもかかわらず、紛らわしい表現・宣伝(特にインターネット上において)をする行政書士会員が多数存在し、これを認識した日本行政書士会連合会は「会員ホームページ作成に際しての留意事項」として、「法令違反となる表現、または他士業法に抵触する恐れや誤解を招く表現などは避ける」との情報を会員に対して出すなど、その信頼向上に努めている。
行政書士となるための資格
・行政書士試験に合格した者(行政書士法第2条第1号)。
・弁護士、公認会計士、税理士、弁理士となる資格を有する者(行政書士法第2条第2〜5号)。単に、司法試験合格した者は、該当しないので注意を要する。(免除要件に該当する者を除き、司法修習を修了して弁護士となる資格を有することとなる。)
・20年(高等学校を卒業した者は17年)以上公務員(又は特定独立行政法人、特定地方独立行政法人)として「行政事務」に相当する事務に従事した者(第2条第6号)。ここにいう「行政事務」とは、行政機関の権限に属する事務のみならず、立法ないし司法機関の権限に属する事務も含まれるが、単なる労務、純粋の技術、単なる事務の補助等に関する事務は含まれず、文書の立案作成、審査等に関連する事務であること及びある程度、その者の責任において事務を処理していることが必要とされる(旧自治省行政課長通知)。
非独占業務
1条の3に規定する業務にあっては、行政書士または行政書士法人でない者も業として行うことができる。但し、これに付随して、1条の2に規定する書類の作成を業として行った場合は、処罰対象となる。
第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
1.前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
・行政手続法上の聴聞代理は官庁による処分の原案段階にとどまるため、紛争性がなく、合法的に行政書士の業務となると考えられてきたが、確認的に法定化された。
・誤解している者が多いところであるが、第一号の当該非独占業務は官公署に提出する書類を作成することではなく、提出を代理することである。
よって、警察署に提出する告訴状・告発状、不起訴処分に対しての検察審査会への不服申立、建設業許可、風俗営業許可、車庫証明申請、自動車登録申請、農地転用許可、開発許可、会社その他の法人設立手続(登記を除く)、経理帳簿の記帳、国籍帰化申請、交通事故における保険金請求などの「作成」は独占業務となる。が、これらの提出手続きを代理するにとどまる場合は非独占業務となる。
2.前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
本号は、委任契約の締結により代理人として民間対民間の契約そのものを代理し、かつ契約書類等の作成の代理を認める趣旨である。
ここには借金の繰り延べの書類や債務支払い期日の延長など契約に付随する行為も含まれる。「代理人として契約書類等を作成する」のであり、書類の作成を代理するのではない(監督官庁である総務省見解)。
・官公署に提出する書類にはその性質上代理になじまないとされるものがあるが、これについては代理人としての作成をすることができないが、従来とおり本人名義での代書によって書類を作成し、前号によって提出の代理を行うことは可能である。
「将来訴訟となる蓋然性が客観的に認められるような契約」の締結代理まではできない。
3.前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
・相談業務とは、以上のような行政書士法1条の2で規定されている書類の作成に当たり、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するべきか、または文書の内容にどのような事項を記述するべきかなどの質疑応答・指導・意見表明・法令、法制度、判例等の先例説明・手続の説明などの行為をいう。
・法律相談という名称は弁護士が独占しており(いわゆる「法律相談」の名称使用独占)それ以外の者(行政書士や司法書士など)は「法律相談」の名称は使えない。但し、一般的に弁護士法72条の取締の対象となるには報酬を得る目的があることが要件となる。従って、無料奉仕するような場合は、この制限を受けないことになる。
参考文献
・地方自治制度研究会『詳解 行政書士法』(ぎょうせい)
・兼子仁『行政書士法コンメンタール』(北樹出版)
・阿部泰隆『行政書士の未来像』(信山社)
・田島隆/東風孝広「カバチタレ!(現・特上カバチ!!)」(講談社)
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